命2

わたくしが十代後半のとき、おいやんが亡くなった。

自ら命を絶った。

おいやんは、建築関係の職人であり、とても寡黙な人であった。

よくおいやんの息子家族とおいやん夫婦が遊びにでかける時、自分に声をかけてくれたのは、おいやんであった。

特になんの会話を交わしたか記憶はないが、いつも出かけるときは自分を誘ってくれた。

背中でものを言う。この言葉がぴったりな人であった。

おいやんは自宅のたんすを利用し自らの命を絶った。

毎日、毎日汗水流しながら働き、どれだけ働いても給料未払いが続いていたようであった。

それでも、おいやんは働き続けたが、限界がきたのであろう。男のプライドか誰にも相談できなかったのかも知れない。

おいやんがこの世からいなくなり十年が過ぎたいま、おいやんの息子と会うたび、おいやんの話をすることが多い。

おいやんの事を本当に尊敬しているのだと強く感じる。

自分もおいやんの様に慕われる親父になりたいと想う。

只、自ら命を絶ってはいけない。





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